ソフトウェアの責任の所在
2006-12-31


ソフトウェア開発者も、製造物責任法 (PL 法) などのような枠組みで責任の所在を明確にすべきだ、という話。なるほど、大筋では大体その通りだと思う。でも、フリーソフトウェア開発者は「賠償責任」と聞けばみんな心臓をバクバク言わせるだろうな。

まず、ひとえにソフトウェア開発とその提供、といっても、形態は様々であることを無視してはいけない。今書いたように、プロプライエタリ (フリーではない) なのかフリーなのか、有料なのか無償なのか (無償であればすべてフリーというわけではありません、念のため)、パッケージ製品として店頭に売り出しているのか受託開発なのか、スタンドアロンなのか Web アプリなのか、プリインストールや組み込みソフトウェアではどうか、などなど、ソフトウェアは実に様々な形態で提供され、あるいは開発されています。

主に受託開発の仕事に携わるソフトウェア開発者のおおくは、ソフトウェア開発は製造業ではなく、サービス業であるという認識を持っています。おいらもその一人です (今は現場に関わっている身ではないけど)。Web プログラマーも同様でしょう。彼らは製品を配布しているのではなく、システムを手元のサーバー上に構築し、そのシステムが提供するサービスを商品として商売しています。反面、組み込み系や、パッケージソフトウェア (プリインストール含む) 開発に携わる人々の場合、その感覚はまたちょっと違うものなのかもしれません。特に、ハードウェア開発の現場で (委託などではなく) 組み込み系ソフトウェアを開発している人間は、一緒にハードウェアを設計し、製造している、という感覚で従事している人も少なくないのではないかと思います。

製造物責任法の骨子は、リコール賠償であったかと思います。このうち、リコールについては、受託開発を除けば、ほぼすべてのソフトウェア開発の現場において、同様の対応は既に定着しているはずです。例えばパッケージ製品であれば、ネットワークなどを介した修正パッチの自動更新および配布が定着してきています。フリーソフトの場合でも、配布元のサイトにおいて告知と修正版の配布が行われている他、メーリングリストなどに参加してもらうことで、積極的に告知をいち早く伝えようという試みをしている方もいます。自動更新については、.NET Framework が Click Once と呼ばれる、アプリケーション起動時に更新のチェックと自動更新を行う機構を提供しており、Windows 向けに無償のソフトを書いている人々の間ではこれが今後は浸透して行くのでしょうが、基本的にはこうした機構は開発者が自己の技術でこさえるものであり、まだあまり浸透しきっていないのも事実です。

いずれにせよ、このような瑕疵保証責任の追及については、法がある程度のガイドラインを示しても良いようには思います。妥当な線としては、大体以下のような感じかと。


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