品質と人気の関係、あるいは品質の価格破壊の可能性について
2007-11-30


興味深い。けどちょっと引っかかる点があったのでそれだけ。

僕の私見になるが、コンテンツにとっての品質という概念の価値は、「品質の高い商品はより多くの人間の注意を引く、興味を喚起する」という点にある。つまり、品質が高ければ高いほど、多くのユーザーがそのコンテンツを高く評価する可能性が高まるということだ。リーチ率に直結している。それが品質の機能であり価値。

全体を読んだ限りでは、ここでの「品質」というのが「製品としてのクオリティ」を指すんだろうなと読みました。例えば映像であれば、光の当て方やマイクの配置、カメラの動かし方などといった、プロの世界では「セオリー」として培われているノウハウに基づくもの。あるいは実際に撮影に使用する機材の良しあしとか、そういったこと。DTM 齧ったことがある人なら、録音した音が一般に売られている CD とかより小さくなりがちなのを、マスタリングの手法とかでどうにかする、みたいなこと、と言えば通じるかな。

で、ここではそういう意味での「品質」が、リーチ率に直結している という前提で続きが述べられているんだけれども、その前提ってそもそも正しいのかしら? とか思うわけですよ。

個人的には、コンテンツが注目を集めやすく、リーチ率が高くなるための要素として一番大きいのは、やはり直観的な「面白さ」だと思う。面白さと一口にいってもいろいろあって、一番大きそうなのはたぶん「新鮮な驚き」といったあたりだと思うんだけれども、それ以外にも知的好奇心を奮い起こすだとか、見ていて安心できる (癒し系/和み系/萌え系/etc...) だとか、とにかく笑えるとか泣けるとかかっこいいとか。

例えば (はてブでもちょっと触れたけど) 映像の品質が人気と必ずしも直結しない好例としては、加トちゃんケンちゃんごきげんテレビを始めとした素人投稿映像で率が取れるという現実が挙げられると思う。世界まるみえ!テレビ特捜部なんかは世界中から引っ掻き集めたホームビデオを垂れ流すような番組だし、そうでなくても素人がたまたま撮影した矢ガモやアザラシや 9・11 などの事件・事故映像がセンセーショナルなニュースとしてワイドショーその他で繰り返し流されたりして数字を稼いでいたりする。

それに対していわゆる「品質」というのは、言ってみれば「プロの (最後の) 良心」として、強いて言えば視聴者に安心感を与えるための手段として用いられているにすぎないのではないかと思う。これは必ずしも「注目を集めるため」に用いられているのではないので、そういう意味では重要性が薄れているように見えるのかもしれないけれども、個人的にはプロの仕事としては非常に重要な要素であり続けるものだと思っている。究極的には、金を出して作品を鑑賞する、または CM が差し挟まることに視聴者が納得する上での、最低要件の一つというべきもの。テレビ番組で素人の投稿ビデオが許されるのも、それがあくまで素人映像であることを断っているからなのであって、例えばそういうクオリティでテレビドラマが撮影された場合、内容がどんなに面白くても、見る人は少なくなるだろうなということは、一部の深夜時間帯に放送されるドラマやテレビ東京で放送されるドラマらしき物の資料率の低さからも窺い知れるんじゃないかと思う。


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